うちの旦那はオネエ様

地方在住、ホモのひとりごと

石川大我さんの講演に行ってきた

ホモである私の人生に少なからず影響を与えた本として、

石川大我さんの「ボクの彼氏はどこにいる?」が挙げられる

 

発売されたのは2002年7月とのことだけど、

当時の私は読書どころではないハチャメチャな日々を過ごしていたので(笑)

実際に買って読んだのは

尾辻かな子さんの「カミングアウト」が出た2005年になってから、

だったと思う

 

表紙に掲載されてた石川さんは何とも爽やかな青年で、

私はすっかり石川さんのファンというか、とりこになった

前向きなメッセージが詰まった一冊は、

暗闇の中にいたひとりのホモ(私)に一歩踏み出す勇気を与えてくれた

私にとってはこの十数年、ずっと会ってみたい「憧れ」の存在だった

 

先日、私はたまたま石川大我さんが福井の勝山市というところで講演をすることを知った

以前は近くに住んでいたが、今となっては遠い

 

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「石川大我さん、勝山に来るって。金沢くらいなら行くのになあ」

スマホでゲームをしていた旦那に言ったら

「え!行きたい!行く行く!」とノリノリになったのはむしろ旦那の方だった

 

石川さんの本を読んで勇気づけられたのは、

私だけではない、

旦那もまた同じだったのだ

高校生の頃に読んだ旦那は涙が止まらなかった、とのこと

 

 

 

石川さんの講演を聴くにあたり、

私は久しぶりに「ボクの彼氏はどこにいる?」をじっくり読んでみることにした

しかしながら本棚を見ても見当たらない

ありゃ、先日もチラっと見たはずなのに何処行った???

 

で、たまたま本屋に行ったら在庫があった

私は最初にハードカバーを買っていて(恐らく実家にある)

その後文庫版を買ったから

「ボクの彼氏はどこにいる?」だけで3冊目の購入だ(笑)

 

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石川さんは好きな女性タレントとして常に浅香唯さんを挙げてたんだなあ、

私は永井真理子さんだったなあ、とか、

光GENJI佐藤敦啓さんがタイプだったのか、

私は山本淳一さんだったなあ、とか、

修学旅行で寝言を恐れて眠れなかった、とか、

やはり懐かしいというか、共感できるエピソードが満載である

 

今になって自分との違いに気付いた点もあった

 

まず、石川さんは最初から「男の子が好き」だったんだなあってこと

石川さんは小学校4年生の時に6年生のKくんに恋をしていて、

中学生になると「同性愛」なる言葉を広辞苑で調べ、

「同性を愛し、同性に性欲を感ずる異常性欲の一種」

なる一文にショックを受けている

 

対する私は

「特定の誰かを好きになる」ではなく

あくまで「男性の裸」に性的興奮を覚える、であったもので

気付いた瞬間は「うーむ、やばい」なんて感じたけど、

同性の裸で興奮できるのだからむしろありがたかった(笑)

そんなもので「同性愛」とか「ホモ」とか「オカマ」って言葉には

つながっていなかったような気がする

 

で、久しぶりに真面目に読み返してみて、

何とも言えぬ違和感に気付いた

 

この「ボクの彼氏はどこにいる?」は第一章から第五章で成り立っていて、

全体的に軽い筆致で描かれているので淡々と読み進むことができるのだけど、

第四章だけが、やけに「重い」筆致となっている

 

石川さんも大学生の頃までは、同性愛者であることを前向きに捉え、

むしろ楽しんでいる

さらにネットを通じて、実際に「ゲイ」と会う、

ここまでが第三章

 

第四章は起承転結でいう「転」の部分だ

石川さんが同性愛者であることを「問題」と考える転機が訪れる

 

それが「すこたん企画」との出会いとなる

これが第四章で触れられているのだけど、

石川さんの心はこれまでとまるで別人になる

 

「すこたん企画」時代のものとは多少表現も違うだろうけど、

現在のサイト「すこたんソーシャルサービス」の

「同性愛の基礎知識」にこんな一文がある

 

私たち同性愛者の多くは、自分で自己表現することができないでいます。公に自分の思いを発表する場がないばかりではなく、常に、世間に、勝手な、それも否定的なイメージを作られ、さらには、日常生活の中で実際に笑われたり、からかわれたり、無視されたり、軽蔑されてしまう中で、自由に自分のことを話すことが困難な状況におかれているのです。http://sukotan.jp/douseiai_02.html

 

恐らくとしか言いようがないけれど、

「すこたん企画」時代も似たようなことを書いていたはずだ

 

石川さんはすぐに「すこたん企画」のサイトを開設していた方に会って、

講演を聞きにいくようになる

「ボクの彼氏はどこにいる?」では第四章にこの時の興奮が描かれている

 

言いたくても言えなかったことを言ってもらえる爽快感。こうして少しずつだけれど、世の中の偏見や差別による生きにくい状況が改善されていく。

 

「ボクの彼氏はどこにいる?」ではここで初めて「偏見や差別」という言葉が出てくる

 

しかしながら、石川さんは第三章までにおいて

自身が受けた「偏見や差別」の実例をいっさい挙げていない

すべては「同性愛者が存在しないと思われているゆえの気苦労」だ

 

保毛尾田保毛男で傷ついたなんて一文もあるが、

誰も石川さんが同性愛者だなんて思っていないからこその話題だったのだろう

 

そもそも石川さんは、大学生のときに好きだったノンケに

「実は」とカミングアウトしているのだけど、

周囲は誰一人彼が「ゲイ」であるとは気付いていないのよな

誰も石川さんに対し差別のしようがない

 

ということは、石川さんのいう「偏見や差別」というのは、

あくまで「すこたん企画」さんの話として捉えていいのだろう

 

この後、石川さんはホームページを開設するのだけど、

ここにも「差別や偏見」という言葉を入れている

というより「すこたん企画」さんの「同性愛の基礎知識」そのものだ

  

アメリカでは5時間に1人、思春期の同性愛者が自殺しているといいます。また、僕の知っている友達も「自殺」を考えたといいます。「生きること」すらままならない生活……。

 

明るく楽しく生きてきた同性愛者がいきなりの変貌ぶりである、

とはいえないか

 

「すこたん企画」さんのサイトで考え方がまるっきり変わったのは石川さんだけではない

私自身も思いっきり変わった

 

私自身が「同性愛者は苦しんでいる」と思うきっかけになったのは、

まさにこの「すこたん企画」のサイトに出会ってからだ

 

 

 

「ボクの彼氏はどこにいる?」をカバンに入れて、

旦那と私は福井県勝山市へ向かった

私が石川大我さんを知ってはや十数年、

ようやく本人に会うことができる

 

石川さんの講演は

「かつやま のぞみフェスタ」

なる男女共同参画社会を考えるつどいの一環として行われるとのこと

 

主催者の挨拶、来賓の祝辞、表彰などに続いて、

石川さんの講演が始まった

 

私はカバンに入れていた「ボクの彼氏はどこにいる?」を取り出してみた

表紙の青年は金物屋の前に座って、

左の方を眺めている

その青年がいま、壇上にいる

 

ノーネクタイのジャケット姿

44歳という実年齢よりは若くみえるし

腹が出ている様子もない

思った以上にがたいがいい

 

自己紹介ののち、

TV番組で取り上げられたLGBT,

カミングアウトした著名人など、

市民に「見たことありますか」「ご存知ですか」と問いかけながら、

適度に笑いを入れつつ、スライドを用いてLGBTについての話を進めていく

 

LGBTがどれくらいいるかご存知ですか」

石川さんが会場に問いかける

電通が出した数字で7.6%、連合が出した数字で8%と言われています」

勝山市の人口は2万3000人ですから、1840人の当事者がいます」

会場を埋めた市民がざわつく

 

20年近くこうした講演を続けているのだ、

掴みどころを知っている

 

石川さんは全国9つの自治体でパートナーシップ制度が始まったと話す

パートナーシップ制度の広がりがLGBTへの理解を深める、

勝山市でも導入の検討を、、、、、

 

とは言うが10月2日現在で全国で276組しか申請していないことは絶対に言わない

 

初めて彼の話を耳にすれば、

間違いなく、LGBTのことを、分かった気分になれる

 

1時間20分ほど、彼は話し続け、

拍手とともに講演は終了した

 

私は何ともいえぬ空虚な気分になっていた

真っ先に感じたのは「石川さん、ゲイなんだよね?」ってことだ

 

当事者が話しているはずなのに、当事者が話している気がしない

LGBT講演マニュアル」みたいなものがあって、

石川大我っていう男性が話した、って感じ

 

同様のことは旦那も感じたようだ

「私もLGBT講師やろうかな。これくらいの話やオカマっていじめられた話なら1時間でも2時間でもできる」と小さく笑う

 

その後は質疑応答となった

この場で、予想外の展開となる

 

年配の男性が「5分だけお時間をください」と言って、前へでてきて

「私は1840人のうちの1人です」とカミングアウトしたのだ

会場がざわついた

 

「私が居酒屋で飲んでますとね、今はやめましたけど市の職員がね、私を見て『オカマが酒飲んでる』って笑うんですよ。市の職員が、ですよ」

 

男性は、これまでに経験してきたことを淡々と述べていく

はっきり言って、この告白で、石川さんがこれまで何を喋っていたのか、

全部ふっとんでしまった

 

そう、少なからず当事者であるのなら、

この男性のように辛い体験のひとつやふたつあっても何らおかしくはない

こういった体験を乗り越えた上での「今」があるはず

 

しかしながら石川さんの話にはこういった体験談がゼロなのだ

 

男性の告白が終わると、

会場内は石川さんが話し終えた時以上の拍手に包まれた

 

石川さんは、この拍手の大きさの意味を知る必要があるのではなかろうか

 

 

 

つどいが終了し、

会場の後部では石川さんとスタッフが書籍の販売を行っている

私は、その列に並んだ

 

壇上にいた石川さんはがたいよく見えたけど、

眼の前で見てみると、そんなに背が高いという印象は受けない

表情は穏やかだけど、

いまいち目ヂカラを感じない

 

あとふたり

 

私の前にいた男性と石川さんが名刺交換をしている

喋り方もやはり穏やかだ

この人が、本当に杉田水脈氏を糾弾し、デモを扇動した石川大我という男なんだろうか

 

あとひとり

 

十数年、会ってみたいと願っていた方が、

わずか1メートルほど先にいる